Scene 1:過ちの始まりは、家庭教師の特権
「先生、ここ、わかりません」
机の上、参考書の図形を指さす彼女、小湊よつ葉。その声は、少しハスキーで、甘く、耳元で囁かれるたびに背筋がぞくぞくするのを止められない。俺はしがない大学生の家庭教師。彼女は、俺が教える、少し大人びた女子高生。
「ああ、ここはな…」
身を乗り出して教えようとした、その時だった。彼女の長い髪が、ふわりと俺の腕にかかる。シャンプーと、彼女自身の甘い匂いが混ざり合って、思考がぐにゃりと歪む。
気づけば、俺は問題の解説ではなく、彼女の横顔に見入っていた。長いまつ毛、少し尖った唇。その唇が、ゆっくりとこちらを向く。
「…先生、私のこと、見てたでしょ」
悪戯っぽく、そしてすべてを見透かしたような瞳。まずい、と思った時には、もう遅かった。彼女は机の上の参考書を静かに閉じると、椅子を回転させ、俺と真正面から向き合った。
「ねぇ、先生。勉強より、もっと面白いこと、してみる?」
その言葉は、拒否という選択肢を俺から奪い去る、絶対的な魔力を持っていた。
Scene 2:それは、レッスンだった
彼女はゆっくりと立ち上がると、俺の座る椅子の前にひざまずいた。そして、下から俺の顔をじっと見上げてくる。
「先生は、キスの仕方、ちゃんと知ってる?」
まるで子供に教え諭すような口調。俺が何も言えずにいると、彼女は「だめだなぁ」と小さく呟き、そっと俺の顎に手を添えた。
「いい?こうやるの」
触れるだけの、優しいキス。しかし、それはほんの序章に過ぎなかった。
「次は、もっと気持ちよくしてあげる」
彼女の舌が、ゆっくりと、しかし確実に俺の唇をこじ開けてくる。それは、レッスンだった。俺の口内にある、快感のポイントを一つひとつ、丁寧に教え込むかのような、的確で、優しい舌の動き。
「ここ、気持ちいいでしょ?」
上顎をなぞられ、脳に電気が走る。
「こっちも、好き?」
舌の裏をくすぐられ、腰が砕けそうになる。
俺は、ただ彼女のなすがままに、快感のイロハを”教育”されていく。いつの間にか、教師と生徒の立場は、完全に入れ替わっていた。
The Final Scene:卒業証書は、彼女の唇
どれくらい、彼女のレッスンは続いただろうか。
俺の思考が完全に溶け落ち、よだれが口の端から垂れそうになったその時、彼女は名残惜しそうに唇を離した。そして、糸を引く唾液の橋を、いやらしげに自分の舌で絡め取った。
「…ふふ、上手にできました」
彼女は、満足そうに微笑むと、まるでご褒美を与えるかのように、もう一度、今度は短く、しかし深く、俺の唇を吸った。
その瞬間、俺は理解した。
俺はもう、彼女なしではいられない身体にされてしまったのだと。彼女という名の、甘く、そして厳しい”先生”から、卒業することなど、もう永遠にできないのだと。
机の上に置きっぱなしにされた参考書が、まるで俺の惨めな敗北を嘲笑っているかのように、部屋の明かりを鈍く反射していた。